妊婦健診でみていること。
ブログ 2016年09月22日
妊娠中の糖尿病と血糖値について
血糖値は女性ホルモンの影響??
妊娠中は女性ホルモンの関係で脂肪が付きやすいと言われています。
つわりが解消し、ストレス解消のためにもついつい甘いものが食べたくなります。
気を付けていないと、太り過ぎてしまったり、太ると産道に脂肪がついて難産の原因になります。
また、血液の循環量が増えるた腎臓への負担が大きくなり、尿中に糖が出やすい状態になります。
妊娠後期はホルモンの影響で食事の血糖値が上がりやすい傾向にあります。
そのために妊娠中に腎性糖尿病(尿中から糖が検出されるが血糖値は正常)や糖尿病を疑われる人も少なくありません。
気を付けよう!生活習慣
血糖値が引かっかる方は、美味しいものは糖と油(脂肪)でできているというCMもあるように、
砂糖やお菓子などの甘いものだけが糖ではなく、糖質についても気を付けてください。
お野菜や果物でも最近は糖度の高いものがたくさんありますので、
ビタミンや栄養、葉酸などの摂取の為に毎日食べているものに関しても見直してみてはいかがでしょうか?
妊娠中の糖尿病は赤ちゃんが巨大になることで難産になるだけでなく、
うまれてきても、低血糖、黄疸、呼吸障害などの多くの合併症を引き起こしやすいので、妊娠中の血糖が異常に上がり過ぎないように気を付けましょう。
血糖値を下げるツボにお灸
薬や運動、病院の食事指導でもなかなか盛らない場合はツボ刺激という選択もあります。
お灸をおうちですることで血糖値が下がるツボもありますので、ぜひお悩みの方はお灸にいらしてください。
ただし、妊娠中に鍼灸治療を受ける場合はドクターの許可が必要です。
妊娠糖尿病
妊娠中に発症、糖代謝異常と言われ、妊婦の7~9%が診断されます。
妊娠中期24~28週に再度スクリーニングを受ける必要があります。
出産後に糖尿病になる危険性もあるため、治っているか検診を受けるようにしてください。
妊娠中の明らかな糖尿病
妊娠前から糖尿病だった可能性があるものです。
糖尿病合併妊娠
糖尿病の人が妊娠した場合です。
もともと糖尿病には1型、2型があり、それぞれ原因がちがいます。
1型:先天的に膵臓の働きが悪くインスリンが分泌されない
2型:生活習慣の乱れ(食事、運動不足など)
妊娠時に発症の妊娠糖尿病(糖代謝異常)は、胎盤からインスリンの働きを妨害するホルモンが分泌されるため血糖値が高くなってしまうのです。
妊娠高血圧症候群や羊水量の異常、出産後の糖尿病発症リスク、流産、早産、巨大児、心臓肥大、先天奇形などになる可能性があります。
《妊娠糖尿病になりやすい体質》
*肥満
*身内に糖尿病の人がいる
*高齢妊娠(35歳以上)
*尿糖の陽性が続く
*以前に大きな赤ちゃんを出産
*原因不明の流産、早産、死産の経験がある
*羊水過多
*妊娠高血圧症候群、過去に既往がある
《妊娠中の目標血糖値》
血糖値:食前血糖値60~100mg/dl
食後1時間血糖値140mg/dl以下
食後2時間血糖値120mg/dl以下
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) 5.8%以下
GA(グリコアルブミン) 15.7%以下
《治療法》
食事を正しくとることで血糖コントロールを行います。生活活動量や妊娠中の経過により医師の指示に従ってください。
運動は血糖コントロール改善につながる効果がありますが、妊娠の状況によっては運動できない場合もあるため
妊娠中の運動は必ず主治医の許可を得てください!有酸素運動が効果的です。
経過によっては、インスリン療法になる場合もあります。
しかし、低血糖になる危険性もあるので注意が必要です。
糖尿病という名前から、単に体に糖が多いから甘いものを控えればいいだけ。と安易に考えている方も多いのではないですか?
しかし、糖尿病は、進行すると網膜症や腎症、神経障害、脳卒中や心筋梗塞にもなりかねない病気なのです!
上記にも述べましたが、妊婦さんは妊娠高血圧症候群、流産、巨大児などあらゆるリスクが考えられます。
無事に出産、産後を迎えるためにも生活の送り方に気を付けましょう。
麻疹
すでに妊娠している場合、妊娠中の方は理論上、はしかワクチンが胎児にリスクが及ぶ可能性があるため予防接種が出来ません。
ただ、うっかり接種を受けてしまった母親から生まれた新生児に問題が生じたという報告例はないそうです。
麻疹が心配な方は既往歴をしらべて、子供の頃に予防接種を受けたことがないか、ご両親に確認しても記憶にないか調べてください。
やったことがないかもという場合は医師の検査を受けて免疫の有無を確認しましょう。
はしかは風疹と違って先天異常を生じさせないらしいです。
また、万が一免疫のない人が麻疹患者と直接接したら、発症した場合に重症化しないように
潜伏期間(接触してから発症までの間)に病院へ行ってガンマグロブリンを投与してもらいましょう。
◎風疹において
妊娠中に風疹に罹ったら胎児に起こりうるすべてのリスクについて医師と相談する必要があります。
妊娠がすすむにつれ伴うリスクは少なくなる点を理解しておくことが大事です。
1ヶ月目感染した場合胎児が深刻な先天異常を生じ都可能でいは高く、35%です。3ヶ月目にはこれが10~15%に下がります。
その後のリスクはごく低くなります。
風疹のワクチンを受けると2ヶ月は妊娠しないように指示を受けます。
この間に図らずも妊娠してしまったり、妊娠を知らずに予防注射を受けることがあっても
理論上は胎児に害が及ぶ危険性がありますが、それに追って先天的異常が生じた報告例は今までないそうです。
参考文献 妊娠と出産の本 監修 竹内正人産科医
貧血
はじめに、体内の鉄分が足りているかどうかの指標のひとつに、赤血球に含まれ、鉄分が主な成分であるヘモグロビン値(血色素量)があります。
男性で13~17g/dl、女性で12~15g/dlが正常値と言われていますが、日本人女性のすべての世代で、1~2割の女性がこの数値を下回っているという
国の調査がでています。
鉄分の重要な働きは、
1.血液を通し身体の隅々まで酸素を運ぶ。
(鉄分が不足し酸素が十分に運び込まれないと細胞に栄養がいかず身体の不調がでやすい)
2.免疫力に関わる白血球の働きに関与する
(白血球が正常に働かず、風邪をひきやすく、長引く)
3.皮膚や粘膜の健康状態を保つ
(湿疹ができやすい、鼻水がとまらない、便秘や下痢をしやすい)
4.コラーゲンの生合成
(肌荒れや爪の変形、髪の毛が弱くなる)
5.血管の健康に関与。
(血行不良が起きやすくなり、肌がくすむ、肩が凝る、腰が痛い、あざができやすい)
以上のことがあげられます。
妊娠中は血流量が増え、非妊娠時の1.3倍にもなると言われています。
その為、血液中の赤血球の製造が追いつかず貧血になりやすい状態となります。
とくに、赤ちゃんが自分で血液を作り出すのに鉄分を必要とする為ママの身体から大量に鉄分が吸収されてしまいます。
ただ、ママの貧血が赤ちゃんの発育に影響するのはまれです。
なぜなら、ママの身体の栄養素は優先的に赤ちゃんに運ばれるしくみだからです。
しかし、貧血が進むと動悸や息切れが現れやすくなります。
妊婦さんが貧血の場合、
妊娠中・・・自覚症状なし
出産時・・・出血しやすく止血しにくい。麻酔が必要なお産になった場合危険が伴うケースあり。
産後 ・・・貧血が続くとママの体力が低下し母乳育児がしずらく感じる事も。悪露が止まりにくい。
以上のようなことがあります。
予防のポイントとしては食品で取りいれる事が一番大切な事になります。
鉄分が豊富な食材の代表的なものとしては、
豚レバー ・・・13.0g
切り干し大根 ・・・9.7g
あさり ・・・2.8g
納豆 ・・・3.3g
小松菜 ・・・2.8g
ほうれん草 ・・・2.0g
木綿豆腐 ・・・0.9g などがあります。
貧血にいいから!!と言って同じものばかりとることはよくありません。
鉄鍋を使って料理をしてみたり、鉄分の消化吸収を助ける効果のあるお酢と一緒に調理してみたり、
鉄分の吸収がアップするビタミンCの豊富な緑黄色野菜や果物と一緒に摂ってみたりと
妊娠中の食事が不安なものではなく、楽しくなるよう工夫をしてみてください。
尿蛋白
<原因>
自分の血液に加え、赤ちゃんの血液も一緒にろ過しているいため妊娠前よりも沢山の血液をろ過しなければなりません。
腎臓にとってかなりの重労働です。
たくさん働くほど腎臓の機能は低下しやすく、ろ過がうまくいかなくなって尿にたんぱく質が混じりやすくなります。
また、運動不足になるほど、腎機能は低下するので、尿たんぱくが出やすくなります。
±は、プラスが疑われるということです。1+に近い状態です。
妊娠中は尿たんぱくが出やすいですので、一時的に出た可能性もあります。
改善方法とては、塩分を控える、糖分を控える、カロリー管理をする、適度な運動
(マタニティーヨガやウオーキングなどは全身の血行を促進し、心身のストレスを軽減させる)
水分摂取(水分が足りないことで陽性になることがある)
血液をサラサラにしてスムーズに子宮・胎盤に送ることが、赤ちゃんに必要な羊水をつくると事な役割があります。
このように妊娠中は尿たんぱくがでやすいですのでプラスが出ても心配しすぎないで、食事や軽い運動で、予防していきましょう。
体重
妊娠すると体重の変化が気になりますよね。
出産までにどのくらい増えるのか?どのくらい増えていいのか?大体の目安はBMIによって変わってきます。
BMIが18.5未満の痩せ型と言われる方は9~12㎏、
BMI18.5~25の方は7~25㎏、BMI25以上の太り気味と言われる方は5~7㎏が
目安とされていますが個人差もありますので病院の先生とよく相談されて下さい。
また体重が増える時期もとても重要です。妊娠15週まではまだ胎盤の形成が未完成の為、
胎児が母体から栄養をとる事はないそうですので食事は母体の分だけ摂取出来ていれば良いとされています。
つわりのあるこの時期はホルモンのバランスが崩れる事で太ってしまう場合もあるそうですがこの時期の体重増加はしなくて良いと
言われています。
体重増加により妊娠高血圧、妊娠糖尿病のリスクが上がるというのは想像しやすいと思います。
がそれだけではありません。
必要以上の脂肪は産道にもついてしまい出産時の陣痛を弱くしてしまいます。
微弱陣痛はお産を長引かせてしまします。また脂肪の詰まった産道は伸びにくく難産となるリスクも高まります。
自分が太ってしまって苦しいのはまだしょうがないと思えるかもしれませんが胎児にもその影響はあるとされています。
巨児のリスクはもちろんの事、ずっと血糖の高い血液から栄養をもらっていたため、胎児の血中インシュリンが高くなり
新生児の低血糖が懸念されます。新生児の低血糖は発達障害の危険因子となります。
こうやって聞くと体重は増やさない方が良いように聞こえるかもしれませんが必要以上に痩せすぎな妊婦さんから生まれた子供は
常に栄養を欲する飢餓状態に備える体になってしまい少しの栄養も吸収しようという力が働き生活習慣病になりやすくなると言われています。
体重が増える時期に適正に体重を増やしていくことが大切なのがお分かり頂けましたでしょうか?